living in color

思想、あるいは妄言

慣性

東京都知事選挙があった。結果は小池百合子が3度目の当選。

ただ、10-30代の投票トップは石丸伸二だったらしい。その理由をインターネット戦略とみているようだ。

もちろんyoutube等インターネットを利用した戦略は確かに若者を動かしたと思う。しかし自分はそれだけでなく、別の理由もあると思う。

というか、ネットというもので票を勝ち取ったという意見は少々古臭く、現代では標準的だと思う。その点だけしか言わないのはナンセンスというものだ。

 

それは「変えてくれるかもしれない期待感」である。

日本は20-30年不景気である。僕は日本が好景気だった日本を知らない。そんな僕にとって、今の政治は日本が不景気であり続ける諸悪の根源である。その政治に関わってきた者、甘い汁を吸っている者が日本の要人である限り、日本は不景気のままなのだと考えるのは自然な流れだ。

小池百合子が2期8年で成し遂げたことは何であろうか。密ですMADは面白かった。税金48億円でプロジェクションマッピングしたり、はい/いいえが言えなかったり。正直プラスに働いてくれた事例が何も浮かんでこない。

蓮舫は20年間政治家として活動している。そう、まさに諸悪の根源。個人的に野党的な否定しかできない人間が嫌いというのもあり、まるで好景気に変えてくれそうな気がしない。

では石丸伸二はどうか。世間では実績がないと言われているらしいが、8年間で音MADの素材になっただけの71歳と、20年間否定しかしてない人と、4年間市長やって実績がない人のどちらに期待するか。前2人の無能さが浮き彫りではないか。youtubeで配信していて相互的なコミュニケーションをとっている点、政治に興味を持ってほしいという政治のエンタメへの昇華を目指す点、若者への投資を掲げている点…この人ならもしかしたら自分が30,40代になったときに好景気の日本を見せてくれるかもしれない。そう感じるのは不自然だろうか。ロジカルでないだろうか。

 

慣性の法則とは、ざっくり言うと静止しているものは静止し続けようとし、動いている者は等速直線運動をし続けようとする法則だ。

これはおそらく人の心にも働く。現状に不満のない人間は変化を求めないし、現状苦しんでいる者は改革を求める。選挙においては、静止している者は組織票、既得権でおいしい思いをしている者、政策によって暮らしやすくなっている者。動いている者は浮動票、現状に不満を持つ者。彼らがその鬱屈とした気持ちを代弁し、先頭に立って立候補した石丸伸二に期待するのは当たり前だと思う。

今回は石丸伸二という外力で静止した者を動かすことはできなかった。しかし確かに外力が働いた跡を残した。得票率が蓮舫を抜いて2位。無所属の候補が野党からの支持を受けている候補に勝ったのだ。

 

これが石丸伸二が10-30代の投票トップになれた要因であると考える。またこれは、10-30代にとってはマスコミよりインターネットのほうが影響力が大きいことをはっきりと示している。いよいよマスコミはインターネットを無視できなくなってきた。

寒く暗い夜はまだ続く。しかし夜明けは近いのかもしれない。